
喫茶店のメニューで見かける「アメリカンコーヒー」。
なにげなく注文している人も多いと思いますが、どういうコーヒーを「アメリカン」というのか、あらためて聞かれるとちょっと答えに困ってしまうのではないでしょうか?
今回は、「アメリカンコーヒー」の意味と、「ブレンドコーヒー」や「カフェ・アメリカーノ」との違いについて解説します。
「アメリカン」ってどんなコーヒーのこと?
「アメリカンコーヒー」というと、「薄いコーヒー」を思いうかべるのではないでしょうか。
しかし「アメリカンコーヒー」は、ただ豆の量を減らしたり、コーヒーにお湯を足して薄めたものではなく、本来は「浅煎りの豆を使ったコーヒー」だとされています。
アメリカでは、英国の植民地時代には紅茶がよく飲まれていましたが、独立後はしだいにコーヒーが飲まれるようになっていきました。
西部の開拓時代、焙煎時間を短くしコーヒー豆が縮んでしまわないように浅煎りが好まれるようになったという説も。
浅煎りの豆で淹れたコーヒーは、すっきりとした酸味があり、香り高いのが特徴です。
アメリカには「アメリカンコーヒー」がない?

「アメリカン」という名前から、アメリカで広く飲まれているコーヒーだと思っている人も多いと思います。
しかし、アメリカでも特に東海岸側は、「シアトル系」とよばれるスターバックス、シアトルズベスト、タリーズなどのコーヒーショップの本拠地でもあり、エスプレッソや、それをベースとしたカフェラテがよく飲まれています。
いっぽう、西海岸ではエスプレッソベースのコーヒーショップはやや少なめですが、特段薄めのコーヒーが好まれているというほどではなく、いわゆる普通のドリップコーヒーが主流になっているそうです。
ただ、往年のアメリカ映画に出てくるようなダイナー(軽食を出すレストラン)やドライブインで提供されるような、おかわり無料のコーヒーは、たしかに薄く香りが弱いものが今でも見られます。
ただ、アメリカ国内のカフェやレストランのメニューに「アメリカンコーヒー」というものはなく、薄いコーヒーを「アメリカン」と呼ぶ習慣もないそうです。
アメリカンとブレンドの違いは?

最近では、ファミリーレストランやコンビニなどのカフェメニューにはあまり「アメリカンコーヒー」というメニューがないことも多く、多くは「ブレンドコーヒー」となっています。
実は「ブレンドコーヒー」とは、単一の銘柄や産地・焙煎の豆でなく、複数の種類のコーヒー豆を組み合わせたものという意味。
たいていは、そのお店でメインとなるコーヒーを指します。
1種類しか提供していない場合「コーヒー」とだけ書いてある店も多いですが、内容はほぼ「ブレンドコーヒー」と考えていいでしょう。
いっぽう「アメリカンコーヒー」とは、世界的には「浅煎り豆のコーヒー」、日本では「薄め・軽めのコーヒー」をさすので、使われている豆は単一のこともあればブレンドされていることもあります。
そもそも分類の仕方が違うというわけですね。
アメリカンと「カフェ・アメリカーノ」の違いは?

では、前述のシアトル系コーヒーショップにある「(カフェ)アメリカーノ」はどのようなコーヒーなのでしょうか。
「アメリカーノ」がイタリア語であることからも分かるように、これらのコーヒーショップでは、イタリアなどで主流のエスプレッソがベースです。
かつて、ヨーロッパに来たアメリカ人観光客が「もう少し薄いコーヒーを」とリクエストしたため、エスプレッソをお湯で割って提供したのが「アメリカーノ」のはじまりとも言われています。
ミルクを入れずに、すっきり香ばしいコーヒーを味わいたい、でも普通のドリップコーヒーのブラックはちょっと濃い…という気分のときにおすすめの飲み方です。