
コーヒー豆の「エイジング」という言葉を聞いたことはありますか?
美容業界で年齢肌のお手入れを「エイジングケア」と言ったり、ステーキハウスで熟成させた牛肉を「エイジングビーフ」と呼ぶこともあるように、エイジングとは「時が経つ」ことを意味します。
今回は、コーヒー豆のエイジングとは何か、焙煎後何日経ったらどのような香りや味わいになるのか…などを解説します。
コーヒー豆の「エイジング」とは
実は、コーヒー豆の「エイジング」には2通りあります。
ひとつは、生豆を数ヶ月~1年以上もかけて乾燥・熟成させて焙煎の準備をすること。
そしてもうひとつは、焙煎した後の豆から、時間とともに二酸化炭素(ガス)が抜けるまで待つことをいいます。
今回の記事では、後者の方について解説していきます。
コーヒー豆の風味は、焙煎後何日目でどう変わる?
焙煎直後から2ヶ月頃まで、それぞれの段階でコーヒー豆の味や香りの特徴を解説、おいしく淹れるコツも紹介します。
焙煎直後のコーヒー豆

パンは焼きたて、ご飯は炊きたてがおいしいですよね。
しかしコーヒー豆は、焙煎後、新しければ新しいほどおいしいとは限りません。
試しに焙煎してから3日目くらいまでのコーヒー豆を挽いてハンドドリップで淹れてみると、かなり泡が出てふくらむことに気付くはず。
実は、焙煎直後のコーヒーには、火を入れたために発生した二酸化炭素(ガスと表現することも)が多く含まれています。
挽いてお湯を注ぐと、この多量のガスが、コーヒー豆の持つ甘みやコクの抽出をブロックしてしまうんです。
そのため、どこか固く薄い味、まとまりのない味に感じることがよくあります。
また、炭酸ガスのピリピリした感覚や、焙煎時の煙のスモーキーな匂いを感じる人もいるかもしれません。
ただ、新しいだけあって香り(アロマ)は鮮烈に感じられるため、あえて焙煎後まもないコーヒーを好んで飲む人もいます。
おいしく飲むには、最初の蒸らし時間を通常よりも長くして、ガスが抜けてから抽出すると比較的うまく行くでしょう。
3日目から10日目頃はベストタイミング

多くの人が「おいしい!」と感じるのは、焙煎後3~10日頃のコーヒー豆だといえます。
ガスが程よく抜け、味のバランスが良く安定している時期です。
お湯となじみがよく、香りもしっかりと立ってクリアな風味と旨味が楽しめます。
抽出時のコツは、酸味や苦味を引き出したいならやや早めに、コクを引き出すにはゆっくりめにお湯を注ぐと、より好みの味に近付きます。
10日~3週間目は熟成されたおいしさ

さらにエイジングを進めると、甘み・苦味・コクが強まり、深い味わいのコーヒーになってきます。
フレッシュな香りはやや弱まりますが、まだまだ味わいは十分です。
ただ、ガスが減るぶん挽いた粉がふくらみにくくなるため、おいしく飲むには抽出のテクニックが必要になってくるでしょう。
熟練の技術を持つ喫茶店などでは、あえてこの時期まで寝かせた豆を使っているところもあるそうです。
20日以降は難しい?
焙煎から20日~1ヶ月ほど経過したコーヒー豆は、味のまとまりがあり、柔らかく落ち着いた風味になります。
しかし、ますますガスが減っているため、蒸らしの時に粉がふくらまず、抽出が相当難しくなってきます。
そして、焙煎後1ヶ月以上経過した豆は、飲めなくはないですが、香りが少なく、しだいに渋みや油脂の酸化した臭みなどが出てきてしまいます。
やはり、自宅やオフィスで失敗なくおいしいコーヒーを淹れるなら、焙煎後2週間頃までを目安にしたいですね。
おわりに
コーヒー豆のエイジングは、おいしいタイミングでコーヒーを飲むためにぜひ知っておきたいもの。
ただ、開封してからは湿気を吸ってしまったり、酸化が進んだりで味が落ちやすいため、エイジングの日数にこだわらずできるだけ早く飲む方がおすすめです。
コーヒー豆の保管方法についてはこちらの記事も参考にして下さいね。