「コーヒーチェリー」とは?市販のコーヒー豆と「生豆」の違い

コーヒーチェリーとは?

皆さんは「コーヒーチェリー」という名前を聞いたことはありますか?

コーヒーチェリーとは、コーヒー豆(種子)を取り出す前の実の状態をいいます。

コーヒーの木は年に1回白い花を咲かせた後、8ヶ月ほどかけて小さな緑色の実が生長し、赤く熟していきます。

(品種によっては熟しても黄色っぽいものもあります)

真っ赤に熟したコーヒーの実はまるでチェリー(サクランボ)のような見た目ということから「コーヒーチェリー」と呼ばれています。

コーヒーチェリーの収穫方法

コーヒーチェリーの収穫は、赤く熟したものだけを丁寧に手で摘み取るスタイルと、枝をしごいてまとめて収穫し後から選別する方法があります。

一般的に、前者(手摘み)のコーヒー豆はクオリティも値段も高く、後者は機械化された大規模な農園で行われていて比較的安価なことが多いでしょう。

コーヒーチェリーは食べられる?

熟したコーヒーチェリーはほのかに甘酸っぱく、農園では子どもたちがおやつ代わりに食べる姿も見られるそうですよ。

ただ、多くの種類では果肉はごく薄く、果物として流通はしていません

生産者にとっては豆が主役ですから、効率を考えれば当然かもしれませんね。

コーヒーチェリーの意外な利用法

コーヒー豆を取り出したあとの果肉は、廃棄または肥料として使われます。

ただ、近年、コーヒーチェリーには、コーヒー豆と共通の成分である「クロロゲン酸」や鉄分・食物繊維が多く含まれ、ポリフェノールなどの抗酸化作用も注目されています。

欧米では、この果肉部分だけを乾燥させて粉にした「コーヒーフラワー」が近年グルテンフリー(グルテンを含まない)のスーパーフードとして注目され、小麦粉の代替品としてパンなどに使われています。

また、昔から、コーヒー生産国や加工工場のある国では、乾燥させた果皮や果肉をハーブティーのように飲む「カスカラ」または「コーヒーチェリーティー」として親しまれています。

コーヒーの生豆(なままめ/きまめ)とは

コーヒーの実(コーヒーチェリー)から外皮と果肉、「パーチメント(内果皮)」、「シルバースキン(銀皮)」を取り除き、種子だけを取り出した状態を生豆(なままめ)と呼びます。

(最近では「きまめ」と呼ばれることも増えているようです)

緑がかった色をしていることから、英語では「green coffee beans(グリーンコーヒービーンズ)」と呼ばれています。

コーヒーチェリーが生豆になるまで

コーヒーチェリーから豆を取り出す方法は、大きく分けると2種類あります。

加工法1「ウォッシュド(水洗式)」

収穫したコーヒーチェリーから、機械で外皮や果肉などを取り除き、水に漬けて自然発酵させます。

その後、果肉や外皮などの残りを水で洗って乾燥させ、薄い殻(パーチメント)をむけば、一般的な「生豆」のできあがり。

世界の産地や加工地の多くはこの「ウォッシュド」方式をとっています。

手間はかかるものの、加工の過程で実や豆のばらつきを発見し、取り除くことができるため、比較的品質が安定したクセのないコーヒー豆ができるのがメリットです。

加工法2「ナチュラル/アンウォッシュド(非水洗式)」

ナチュラル/アンウォッシュド」は、収穫したコーヒーチェリーを水洗いせず、天日または機械でそのまま乾燥させる方法で、ブラジルやエチオピアなどではこの方式の産地が大部分を占めています。

乾燥させた実は脱穀機にかけて外皮や果肉を取り除きます。

乾燥にやや時間はかかりますが、大がかりな機械を必要とせず、風味や甘みが強い素朴なコーヒー豆ができるのが特徴です。

そのほか、先に果肉をはがして水洗いせずに乾燥に入る「パルプトナチュラル」や、おもにインドネシアで行われる「スマトラ式(パーチメントまで取り除いてしまって乾燥させる)」など、その土地によってさまざまな工夫が凝らされています。

同じ品種のコーヒー豆でも、この段階の加工で味が変わってくることがあるのが面白いですね!